外資系メーカーで働くメリット・デメリット【現役エンジニアの体験談】

実際に外資系メーカーに勤務しているYukachiが実体験をもとに外資系メーカーで働くメリット・デメリットを解説していきます


外資系メーカーへの転職を考えているんだけど、実際にどんなところか知りたいなぁ

実体験をもとにメリットとデメリットを解説していくから、どんなところかイメージが湧きやすくなるよ

転職してから「こんなはずでは…」となるのはイヤだもんねー
外資系メーカー勤務のメリット
まずは、外資系メーカー勤務のメリットからみていきましょう!
実際に外資系メーカーに勤務して感じるメリットを6つご紹介します。
- 日系メーカーと比べて給与が高い
- 働き方の自由度が高い
- 日本にいながら世界中の人と一緒に仕事ができる
- 意思決定のスピードが速い
- 年功序列じゃない
- コンプライアンス意識が高い

1つずつ解説していくよ!
日系メーカーと比べて給与が高い
独立行政法人 経済産業研究所が出しているデータを見てみると、日系企業(特に海外に子会社がない企業)と比べて外資系企業の方が賃金が高い傾向がみられます。


やっぱり外資系の方が給与は高い傾向があるんだね~
また、マーサージャパンが発表した2024年版「日本総報酬サーベイ」から、入社1~5年目の年収は外資系の方が平均して15%程度高いことが分かります。
(参考URL:https://bizzine.jp/article/detail/11063?utm_source=chatgpt.com)

もしお給料の一部を投資に回した場合、若手からお給料が高い方が長期的に投資できるから、よりインパクトが大きいという見方もできるよね!

たしかに…!!実際の金額差以上のメリットがあるんだね!
働き方の自由度が高い
外資系メーカーの場合、勤務時間よりも成果内容で評価される分、働き方のフレキシビリティはすごく高いです。

やることやっていれば、どんな働き方でもいいってことね~
もちろん企業によって差はありますが、一般的な傾向として外資系メーカーの方が
- リモートワークが普及している
- コアタイムなしのフレックスタイム制を採用している場合がある
- 有給休暇を取りやすい
ことが多いです。
リモートワークはコロナ禍をきっかけに日系企業でも普及していきましたが、コロナ禍が収まってからはオフィス勤務推奨になった日系企業も多いです。

外資系はコロナ前からリモートワークを導入していたケースが多いよ
フレックスタイム制も導入する日系企業が増えてきた一方で、「10時~15時は勤務必須」みたいなコアタイムが設定されていることがあります。
一方で、外資系の場合はコアタイムなしの完全自由なフレックスタイム制を採用していることが多いです。

海外との会議があると時差の関係で早朝や深夜に参加する必要が出てくるから、そもそもフレックスタイム制じゃないとキツいという側面もあるよ
先ほど触れた通り、外資系メーカーの場合成果主義であることが多いため、仕事の調整させつけば有給休暇も自由に取得できます。

普段一緒に働く海外の社員も休むときは一週間以上がっつり休むなんてこともあるから、自然と休暇をとりやすい雰囲気ができているのかも!

確かにまわりが休んでると自分も休みやすいよね!
最後に面白いデータをご紹介します。
こちらのグラフは「現在の職場に満足していますか。」という質問に対する外資企業社員と日系企業社員の回答を比較したものです。
日系企業社員と比較して外資系企業社員の方が「大変満足」「やや満足」と回答している比率が高いことが分かります。

さらに、「大変満足」「やや満足」と回答した人に、職場に満足している理由を聞いた結果が以下のグラフです。
外資系企業社員の方が「在宅勤務・リモートワークが可能」「ワークライフバランス」「柔軟な働き方」の項目を選択する割合が高いことが分かります。


外資系の方が働き方の自由度が高くて、そこに満足している人が多そうだね!

そうだね!働き方の自由度が高いとプライベートと両立しやすいからいいよね!子育て世代にとってもありがたいね!
日本にいながら世界中の人と一緒に仕事ができる
部署によって頻度の差はありますが、外資系メーカーの場合、他の国の拠点に勤めている社員と一緒に仕事する機会があります。
もちろん日系メーカーでも海外に展開している企業では、海外の拠点へ出張したり駐在したりと英語を使う機会はあると思います。しかし、日本にいながら日常的に世界中の人とやり取りするのは、やはり外資系メーカーの方が機会は多いと思います。
というのも、外資系メーカーの場合、日本だけではなく他の国にも多くの拠点をもつグローバル企業であることが多いため、海外の拠点の社員とやり取りする機会は必然的に多くなります。
日系メーカーのグローバル企業の場合は、似たような環境かもしれませんが、そのような日系のグローバル企業は名立たる限られた企業といえるでしょう。

海外駐在のお仕事も素敵だけど、家庭がある人とかはむしろ日本を拠点にしながら海外の人と一緒に仕事できるのも結構魅力的なんだよ~

確かに!「英語を使った仕事」というと海外駐在のイメージあるけど、日本にいても海外の人と一緒に仕事ができるんだね!

私はこれまで、アメリカ、カナダ、ブラジル、中国、台湾、韓国、シンガポール、オーストラリア、インド、ドイツ、イギリスの人と一緒に仕事したよ~

まさにワールドワイドだっ!!!
外資系メーカーでの英語を使った仕事の詳細を知りたい方はぜひこちらの記事も参考にしてください~

意思決定のスピードが速い
一般的に、外資系メーカーの方が日系メーカーよりも意思決定のスピードが早いといわれています。これには意思決定のプロセスや文化の違いが関係しています。
意思決定のプロセスの違い
外資系メーカー | 日系メーカー | |
---|---|---|
意思決定の主体 | 各部門の責任者が権限をもつ | 合議制が多く、複数の関係者が関わる |
プロセス | 少人数の意思決定者で行う | 稟議プロセスによって、関係部署の承認が必要 |
外資系メーカーの場合、各部門の責任者に意思決定の権限が委譲されているため、部門責任者が大きな決定を下すことができます。
そのため、何かを決定したい場合には、関係する各部門の責任者を会議に召集して、その場で決めて終了ということが多いです。
一方、日系メーカーの場合は、「稟議プロセス」を採用している場合が多く、多数の部署と関係者を巻き込む必要があるため時間を要します。
文化の違い
意思決定の文化については、エレン・メイヤー著の「異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養」という本がとても参考になります。
この本の中では決断の仕方として、「合意志向」と「トップダウン式」の2つを紹介しています。
「合意志向」とは、まさに日本の稟議プロセスのことで、全員の合意形成の上で決断がさせる文化を指します。
合意志向で決断される場合、決断するまでにじっくりと時間をかけて何度も議論を繰り返します。しかし、一度決断がさせると実行に移すまでが迅速で、一度決断された内容が覆ることはありません。なぜなら、決断のプロセスの中で全員で合意形成をしているからです。
一方、「トップダウン式」では決断は決定権をもつ個人(部門責任者など)に委ねられています。しかし、この決断は状況に応じて変更可能なものと捉えられています。状況が変われば、計画も軌道修正されていくのです。
こちらの図は、国ごとの「合意志向」または「トップダウン式」度合いを示したものです。
ご覧いただいてお分かりの通り、他の国に比べて日本は圧倒的に「合意志向」寄りになります。そのため、多くの日系メーカーでは「合意志向」に基づいた意思決定プロセスが採用されています。
一方、外資系メーカーの場合は、本社がある国の文化の影響を強く受けます。度合いは国によるものの、少なくとも日本よりは「トップダウン式」寄りであることが多く、おのずと意思決定のスピードは早い傾向となるわけです。


意思決定のやり方や考え方にこんなに違いがあるなんて面白いな~

もちろん、どちらにも良い面・悪い面はあるけれど、個人的には「意思決定のスピードが早い」ことにはたくさんのメリットがあると思っているよ
「意思決定のスピードが早い」=「ビジネスを進めるスピードが早い」といえます。
近年、ビジネスを取り巻く外部環境の変化は激しく、その移り変わりもとても速いです。
そのような厳しい環境の中でビジネスを成長させていくためには、環境の変化についていき適応していく必要があります。それを実現させるためには、「意思決定」を素早く行い、適宜軌道修正していく柔軟性が求められます。
変化の激しい現代社会で生き残るためにも、「意思決定のスピードが早い」ことは大きなアドバンテージになると考えられます。
年功序列ではない
先ほども触れたように、日系と比べて外資系では「実力成果主義」であることが多いです。
そのため、昇進のスピードも年功序列ではなく、その人の実力次第になります。
逆をいうと、実力さえあれば若手でもどんどん昇進していくことができます。
つまり、自分次第で若手であっても重要な仕事を任されたりと経験を積むことが可能になります。さらに、仕事の成果次第で高い報酬を得ることもできます。
そもそも、年功序列は日系企業特有の「終身雇用制度」があることが前提として成り立つ制度です。しかし、この終身雇用制度も近年崩壊しつつあります。そうなると、この「年功序列制度」は若手にとってはキャリアアップ、年収アップを阻害する障害物でしかないのです。
最近では、年功序列制度を見直す日系企業も多いですが、まだまだこの文化が残る企業も多いのが現状です。
転職が当たり前となっている現代では、若手のうちから仕事の経験を多く積み、それに見合った報酬を得ることがキャリア形成の上で重要です。そのような現代の状況を考えると「年功序列ではない」ことは特に若手にとっては有利であると考えられます。
コンプライアンス意識が高い

これは会社の規模によって差が出るところだけど、規模が大きい外資系メーカーの場合は比較的コンプライアンス意識が高いことが多いよ
これは実際に外資系メーカーで働いていて、「コンプライアンス意識の高さ」は常に感じています。Yukachiが務める会社の具体的な実例をいくつかご紹介します。
例えば、毎月のように利益相反やハラスメントなどコンプライアンスに関するe-leaningトレーニングがグローバル全社員向けに配信され、必ず受講する必要があります。
また、コンプライアンスに反する言動が見られた場合、第三者組織に通知できる仕組みも整っています。これは上司を通さずに個人の判断で通知することができます。
このように、会社が積極的に社員のコンプライアンス意識を高めて、維持させようと仕組みを整えていることがわかります。
仕組みや制度は会社によって異なると思いますが、外資系の場合は共通してコンプライアンス意識が高い傾向があります。
これにはいくつか理由があります。
【理由1】グローバルでビジネスをするため、各国の法規制に遵守する必要がある
外資系の場合、グローバルに拠点をもっていることが多いです。そうなると、拠点がある国・エリアの法規制に従う必要が出てきます。
コンプライアンスに関する法規制として、例えばアメリカではFCPA(海外腐敗行為防止法)があり、贈収賄や利益相反に関する厳しい規制があります。また、EUではGDPR(一般データ保護規制)があり、個人情報保護に関する厳格なルールがあります。
このような各国の法規制に抵触してしまうと、会社のブランド力低下にもつながり多大な損失があるため、グローバルにビジネスを展開している外資系メーカーでは、社員へのコンプライアンス教育に力を入れているのです。
【理由2】ルールが明確である
外資系の場合、様々な国・エリアの人が従業員として働いており、バックグラウンドも様々です。そのような職場環境においては、ルールを明文化することは非常に重要になります。
日本の場合は、「暗黙のルール」といったかたちで明文化していないルールが成り立ったりしますが、世界的にみればこれは特殊なことです。
色々なバックグラウンドの従業員がいる環境で統制をとるためには、ルールを明文化し、透明性を高くする必要があります。そうなると、何か不正が生じた際、うやむやにされることなく適切に処理されやすくなるわけです。
【理由3】ルールに違反すると、厳しいペナルティがある
外資系の場合、ルールに違反した場合のペナルティは容赦ありません。最悪の場合は解雇されます。
このこともコンプライアンスのe-learningで度々触れられ、社員は自然と「絶対にコンプライアンスは遵守しなくては!」という意識が芽生えてくるのです。

もちろん、コンプライアンス意識が高い日系メーカーもたくさんあるよ!ただ、そのレベル感は外資系よりもばらつきがある印象かな

気持ちよく仕事をするためにもコンプライアンス意識が高いことは大切だよね~

そうだよね!特にハラスメントとかも厳しいペナルティがある分、あまり見かけないよ
外資系メーカー勤務のデメリット
これまで外資系メーカー勤務の良い面をみてきましたが、当然悪い面もあります。
今度は、外資系メーカー勤務するYukachiが実際に感じている外資系メーカー勤務のデメリットを紹介します。

外資系メーカーに入社してから、「こんなはずでは….!!」とならないためにも是非参考にしてね
- 突然のリストラ・組織改編のリスクがある
- 日本法人の裁量権が小さい
- 早朝や深夜の会議がある
- 会社が提供してくれる研修はあまり充実していない
突然のリストラ・組織改編のリスクがある

正直、これが外資系勤務の一番のデメリットだと思う…

確かにリストラは怖すぎる~~~!!
よく海外ドラマで、クビ宣告を受けて段ボールに荷物を詰めて去っていくビジネスパーソンの場面が出てきたりしますよね。
日本の場合、労働基準法があるため、海外ドラマのように「明日から来なくていいよ」ということはありませんが、突然会社からリストラクチャリング(組織や事業の再構築・整理)を実施することが発表されることはあります。

実際にYukachiの周りでも何度もあったよ…

外資だとあるイメージだったけど、本当にあるんだ…!!
具体的には、「〇〇事業部を閉鎖します。」「グローバル全体で〇千人のポジションを減らします。」などのアナウンスが突然全社員向けのメールでポンと届いたりします。このような大きな変更が何の前触れもなく突然起こるのです。
実際にそれで同期がポジションを失って、社外へ転職していったのを何度も見ました。
このように、自分の意思に反して今いるポジションが急になくなり、別の部署への異動や転職を余儀なくされるケースがあるのが外資系メーカーです。

いつ自分のポジションがなくなってもおかしくないという緊張感があるというのは覚悟しておいた方がいいかも
日本法人の裁量権が小さい
これは外資系メーカーのグローバルでの組織体制によって程度は異なります。
日本法人に大きい裁量権を委ねている企業もあり、その場合は外資系メーカーであっても日本法人が裁量権ももってプロジェクトを進めることができます。
しかし、近年ではそのような外資系メーカーは減っています。というのも、グローバルから見て日本市場の魅力が以前よりも下がってきているからです。

えっ?どういうこと??
日本経済が活発だった時代では、日本市場はグローバルから見て重要なマーケットになるため、日本法人に対してどんどん投資がされてきました。また、大きい裁量権も与えられていたため、日本で自由にプロジェクトを進めることができたのです。
ですが、日本経済の勢いがなくなってきた今では、日本法人に対する投資額も減り、グローバルに対する日本法人の影響力は小さくなっています。

以前まではアジア全体の統括拠点を日本にしている外資系メーカーも多かったけど、香港やシンガポールに移っていっているケースも少なくないよ…
そうなると、日本法人の裁量権も小さくなり、何かプロジェクトを進める際にも本社の意向に従う必要が出て、なかなか自分たちだけで自由にやれなくなっていくのです。
では、具体的に仕事にどのような影響があるのでしょうか。
Yukachiの場合、R&D部門に所属していますが、以前まで日本法人の中である程度自由に製品開発プロジェクトを立ち上げて進めることができていましたが、現在ではグローバルでの承認が下りないとプロジェクトを進めることができなくなりました。

承認を得るには本社を説得する必要があるから、ハードルが結構上がってしまったよ

確かに制限がかかるのはなんとも歯がゆいね…
職種によっては、あまり影響がない場合もあります。例えば、営業職の場合はもともと日本市場をターゲットに営業活動を行う立ち位置で、現地の営業に任されているケースが多いです。

これから外資系メーカーへ転職する人は、その会社での日本法人の立ち位置や職種による影響を確認しておくといいね!

外資系メーカーの組織体制について詳しく知りたい人はこの記事も参考にしてな!

早朝や深夜の会議がある
職種によって頻度は異なりますが、海外とのやり取りが多い部署では避けられないデメリットです。
どの国・エリアとやり取りするかによって異なりますが、時差の関係でどうしても早朝や深夜じゃないと時間が合わないケースは多々あります。

Yukachiの場合、アメリカとの会議が多いんだけど、そうなると時差的にどうしても早朝か深夜になってしまうのよ…
特に参加者が3か国以上になると、日本の場合は深夜になってしまう可能性が高いです。

時差の問題だからしょうがないけど、日常的にあるのは大変だな~

その分、フレックスタイム制やリモートワークの仕組みは整っているから、うまく働き方を調整している感じだよ
会社が提供してくれる研修はあまり充実していない
日系メーカーの場合は、新卒採用の比率が高く、新卒入社の社員に対して人事研修などが数年にわたり体系的に組まれていることが多いです。
外資系メーカーでもそのような研修を用意している場合もありますが、少数派だと思います。
というのも、外資系メーカーの場合、そもそも中途採用の比率が高く、社員によってバックグラウンドも異なるので、体系的な研修を会社側が用意するのも難しいのです。

たしかに会社側が研修を用意して提供する機会は少ないけど、スキルアップのためのリソースは用意されていたりするよ!
Yukachiの会社の場合、e-learningのプラットフォームが用意されていて、色々なトピックのe-lerningコースを自由に受講することができます。(ただし、グローバル全体向けなのでほとんどが英語です。)
また、上司を説得して、外部の研修を受けに行くこともできます。

要は自分次第で、学ぶ機会を得ることは全然できるよ!だから、デメリットには挙げたけど、自主性がある人にとってはあまりデメリットにはならないかな

ずばり、「自分次第」ってことだね!
まとめ
ここでは、実際に外資系メーカーに勤務して感じる、外資系メーカー勤務の「メリット」と「デメリット」の両方をご紹介しました。
どんな会社にも良い面と悪い面の両方があると思います。大切なのは、就職活動・転職活動の際にその両方を知り、納得した上で入社を決めることだと思います。
とはいえ、なかなか実情を知ることは難しいと思いますので、この記事がその情報収集の一助になればとても嬉しいです!